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最高裁判所第一小法廷 昭和35年(オ)645号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人宇都宮潔の上告理由について。

本件抵当物件につき、担保権者と担保権設定者との間に任意売却による換価方法を採用しうる旨の特約のなされることが違法でないことは、原判示のとおりであり、右特約において、所論のような最低売却価額を定めなかつたからといつて、その一事により、右特約が民法九〇条に違反すると解すべき理由はない。また、原判決は、民法五〇四条により、被上告組合が喪失せしめた担保物の価額を限度として、上告人は本件貸付金債務支払の責を免るべきであるとの上告人の抗弁を排斥しているのであつて、この点に関する原判示は首肯できる。原判決には、何ら民法五〇四条の適用を誤つた違法は認められない。それ故、所論はすべて採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

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